木造アパートの空室対策に「防音室」をご提案!オーナー向け防音賃貸のススメ
東京でマンションやアパート、戸建て住宅、店舗、スタジオ、ライブハウスなどの防音室設計・施工を手掛けているリズム・スターです。
マンションやアパートをお持ちのオーナー様にとって、空室率を下げることは永遠の課題ですよね。数多ある競合の中から選ばれる物件になるためには、家賃や広さなどの見直しとともに、機能や設備において何らかの付加価値を与えるなど明確な差別化が必要となってきます。
しかし、今の日本では加速する少子高齢化問題によって人口減少のフェーズに入っているので、いかなる手を尽くしても入居者が思うように集まらないという事態も残念ながら起こり得る話です。
そこで今回は、リズム・スターの代表であり防音設計のエキスパートでもある田中浩雅が、賃貸アパートを取り巻く現状を踏まえて、空室対策としての「防音賃貸」の可能性についてじっくりと語りました。
▽ちなみに、築60年以上の木造宿舎に建築したドラム室はコチラ!▽
南千住の住宅密集エリアですが、屋外では全く音が聞こえません…!
▽こちらの宿舎のオーナーさまに、インタビューさせていただいた記事はコチラ▽
「築60年以上の木造旅館に防音室!?ドラムも演奏できる南千住の「千住田村屋」とは♪」
さて、本題に入りましょう!
なぜ賃貸物件の空室率が上がっているのか?
今回は少し固い話から始めますね。
ここ数年、都心部ではマンションやアパートが供給過多となっています。これは感覚的な話ではなく極めて統計的な話であって、平成17年からは人口が減少に転じました。
しかしながら、人口が減少傾向にありながらもマンションやアパートの着工数が伸び続けているというのが現状です。直近2〜3年はコロナ禍の影響で人口統計はイレギュラーな動きを見せていますが、総じて人口に対して部屋が余っていると理解してもよいでしょう。
では、人口が減少しているにも関わらず、なぜマンションやアパートの建設が増えているのか。これにはメーカーのやり方が大きく関係しているので、少しばかり説明が必要かもしれませんね。どういうことかと言うと、メーカーは相続税対策として土地や資金がありそうな人を狙ってアパート経営を勧めるわけです。
相続では現金で残すことほど税金が高くつくものはないので、賃貸物件として残せば節税できると口説くわけです。詳しいことは割愛しますが、現金を賃貸物件にすると相続税評価額というものが大幅に安くなり、極端な話、現金で1億円を相続した場合、相続税は1,220万円ほどですが、1億円のアパートを建てて評価額を6割まで下げ、さらにアパート経営で30%の減額を受けた場合は、相続税はなんと100万円以下まで下がります。おまけに、その後の家賃収入もあるので老後は安心、と。当然オーナーは部屋が埋まらない可能性も心配もするわけですが、そこもメーカーは考えていて、サブリースの仕組みを使って一括借り上げにするのです。7〜8掛けでメーカーが家賃保証するケースが一般的ですね。
出典:株式会社NTTデータ スマートソーシング「アパート経営ガイド【基本を解説】アパート経営が相続税対策になる仕組みと節税額シミュレーション」
https://land.home4u.jp/guide/apertment-management-30-1821
なぜ賃貸物件の空室率が上がっているのか?
しかし、蓋を開けてみたら入居者が思うように集まらない。下手すると、半分も埋まらないということも往々にしてあります。それはそうですよね、メーカーがバンバン営業してアパートは増え続けている一方で、人口が減っているのですから。そうなると、メーカーは家賃保証の掛け率を交渉してきます。オーナーとしては、「話が違うじゃないか」という感覚ですよね。しかし、実はこの辺のことは契約書に小さく書かれたりしていて、ギリギリのところではあるのですが契約違反にはならないのです。そうなると、オーナーは泣く泣く応じるか、サブリース解約をして自主管理するしか選択肢はないのです。
このような悪質なアパート経営の提案は社会問題にもなっています。入居者が集まらないという弱みにつけ込んで、自分達のことをあたかも救世主のように見せかけつつ、実際に旨味は全てメーカーが持っていくという手法は、言い方を変えれば詐欺と言ってもいいのではないでしょうか。
永遠の課題、空室率を下げるために何ができる?
空室率を下げるために何ができるか、これはアパートを経営している人にとって永遠の課題です。少し厳しいことを言いますが、前提としてアパートは立地が重要なので、駅から極端に遠かったり僻地に建ててしまったりしていたら対策が難しいかもしれません。
話は戻って、空室対策として何ができるのか考えていきましょう。まず、基本条件の見直しです。アパートを選ぶ際には立地、家賃、広さ、間取り、築年数など、様々な項目を検討し、希望する条件に見合った物件(アパート)に消去法で絞っていきます。全ての条件が揃う物件はまずないので、結局は消去法となってしまうのです。
そして、この中ですぐにでも改善できる項目といえば「家賃」になるかと思います。立地を変えるのは不可能、広さや築年数を変えるのであれば建て直しや大規模なリノベーションになります。そうなると、家賃であれば改善の余地があるのではないかと考えますよね。しかし家賃を下げるのは苦肉の策です。一度下げてしまったら二度と上げられないので、できることなら下げたくない。そうなると、他に何があるのか……ここで差別化に行きつくわけです。
他の物件にはない個性や特徴を持たせることによって、数多あるライバル物件の中から「選ばれる物件」になるためにはターゲットを絞り込み、特定の人たちにとって確度の高い物件になることです。
考えてもみれば、今は多様性の時代です。ライフスタイルや価値観の多様化に伴い、住み方の選択肢も広がっています。シェアハウスや地方移住、二重拠点など様々な住み方があり、また住む空間のバリエーションに関してもキャンピングカーやガレージハウス、コンテナハウスなど、従来のアパートやマンションにはない個性的な暮らしを選ぶ人も増えてきています。要は、多少尖ったコンセプトやクセのある物件でも、ニーズがあるということです。デザインや何らかの機能において特化した物件を提案しても、“刺さる”人が確実にいるはずです。差別化することをリスクと考えて何もしないよりも、大胆に差別化して、何だったら家賃まで上げてしまおうという発想を持ってもいいのではないでしょうか。
防音賃貸という選択肢、防音賃貸のニーズは拡大しつつある
あらためて紹介させていただきますと、弊社リズム・スターは防音室設計・施工の会社です。防音室というとプロの演奏家のスタジオや雑居ビルの中の音楽教室などに施工するものというイメージがあるかもしれませんが、ここ最近では自宅に防音室を作るという動きが広がっており、また防音賃貸のニーズも拡大しています。
防音室のニーズとしては、今はSNSやYouTubeの普及によってインターネット上に表現の場が増えたことが一因としてあると思います。SNSで自分の楽曲を配信して、そこから有名になる人もたくさんいますからね。音楽配信の場合は自宅で演奏したり歌ったりしますし、音楽配信以外でも内容によっては大きな声や音を伴うので、近隣対策としても防音は必要になるかと思います。
そして時代に関係なく音大生や音大の卒業生は一定数います。音大生であれば、学校で練習できるのでまだいいのですが、卒業した途端に彼ら彼女らは練習場所難民になってしまいます。卒業生の中にはプロとなって練習場所を確保できている人もいるかと思いますが、一般企業に就職した人などは、音楽を続けようにも環境がないので続けられないという深刻な問題に直面しています。
そして、音大生や音大卒業生とともに忘れてはならないのが、音楽愛好家の存在です。音楽愛好家とは趣味で音楽を演奏している/習っている人のことで、音楽愛好家の数は音大生や音大卒業生よりもはるかに多いとされています。街中にある音楽教室の多さを考えると、納得いきますよね。中にはセミプロとして演奏会やライブを開いている人もいるので、そのような人たちにとって練習場所の確保は切実な問題でしょう。
だからといってマンションを購入して一室を防音室にリノベーションしたり、防音室付きの新築を建てたりすることは、よほどの収入がないと不可能な話です。もちろん貸しスタジオを利用することもできますが、毎日では金額がかさみますよね。そうなると、月々少しばかり高い家賃を払って防音室のある賃貸物件に入る方がいいのではないでしょうか。
防音室や防音賃貸のニーズは、思っている以上にあるというのが現状です。これらをふまえて賃貸物件に防音工事を施し、「防音賃貸」として差別化していくことで空室率を下げることができるのではないかと考えています。
防音賃貸をオススメするもう一つの理由
防音賃貸をオススメする理由はもう一つあります。それは、防音賃貸物件の潜在的な入居者である音大生や音大卒業生が、家賃の滞納などをせず、常識を兼ね備えた優良な入居者になる可能性が高いということです。
オーナーとしては、入居者の家賃滞納はリスク以外の何者でもありません。誰でもいいから人を入れて空室率を下げればいいという話ではなく、優良な入居者を入れることが重要なのです。その点を考えると、防音賃貸は通常の賃貸物件よるも家賃の設定が高めなので、入居希望者はトラブルを起こす可能性が低い人に絞られてくるでしょう。
音大生や音大の卒業生は比較的裕福な家庭で育った人が多いですが、そのような人たちの多くは卒業後の練習場所に困っています。リズムスターが防音賃貸を提案する理由は、それが儲かるからではありません。困っている人たち=練習人難民に良質な住居と練習場所を提供し、より良い音楽環境を世の中に広げていくことです。
木造でも防音工事は可能!驚きの防音性能を発揮
既存の賃貸物件に防音工事をするわけですが、木造のアパートをお持ちのオーナー様は「木造で防音工事なんてできるの?」って思いますよね。防音工事のプロの間でも、木造に防音工事を施すことは不可能もしくは極めて難易度が高いとされているので、半信半疑になるのも当然でしょう。しかし、弊社では業界では難易度が最も高いとされる「木造にドラム用防音工事」を成功させています。
ここで弊社が手がけた「千住田村屋」についてご紹介させていただきます。
「千住田村屋」については、過去のブログでもお話ししていますが、あらためてご紹介すると、ここは築60年以上になる防音室付きの木造旅館です。今の社長は2代目で、先代が高齢になり運営を引き継いだのが2014年。この時に耐震リニューアル工事をするのですが、「何か特色になるようなものがほしい」と考え、防音室もつくることになったのです。他の旅館にはない個性を出したいという思いがあったことは確かですが、もともと音楽活動をしていた社長自身が日々の練習場所に困っていたということも防音室をつくるきっかけになったみたいです。
防音室の設計・施工は「千住田村屋」のように住宅密集地に立地し、旅館であることから建物内に隣接して部屋がある場合はより難易度が上がります。リフォームの際には部屋の数や廊下の幅も決まっていたので、遮音性を高めるために必要な「空気層」をつくるにも限界があるなど、非常に制限が多い中での工事となりました。
そこで、建物の構造や間取りを踏まえ、弊社が保有する音源データの数々を使い様々なパターンで遮音性能をシミュレートしました。ポイントとしては、部屋と部屋が隣接している旅館なので、天井や壁に音が伝導しないようにすることです。具体的には「防振浮床」「防振天井」の補強工事や基礎の見直しなどをしました。
歴史のある木造建築のため布基礎でした。ところが防音室は重量があるため、ガラス繊維で補強しつつベタ基礎を打って地盤を固める工事をしました。
そんなこんなで、最終的にはドラムを叩けるほどの防音性能を兼ね備えた防音室が完成したのです。
築60年の木造の旅館に防音室があるということで話題になり、「千住田村屋」はメディアでも取り上げられ、広く知られるようになりました。おかげさまでいつも予約がいっぱいです。コンサートのために一時的に東京に滞在している演奏家の方や音大の受験生、作曲をされる方や劇団の方まで幅広い層に利用されているそうです。これだけのニーズがあったのだとあらためて実感しましたね。
木造で防音賃貸という挑戦。防音賃貸=高額という概念を覆したい
防音賃貸物件は昔からありますが、基本的にRC造になっていますよね。木造の防音賃貸物件は聞いたことがありません。そしてRC造の防音賃貸物件は普通の賃貸物件の相場よりも2〜3割高いのですが、常に空室待ちだといいます。空室を待っているのは音大生や音大の卒業生だけではなく、趣味で音楽をやるような音楽愛好家も多くいるとのこと。つまり防音賃貸を求めている人の全員が裕福な家庭の子女とは限らないのですよね。そう考えると、防音賃貸がもれなく高いのはどうなのかなと思ってしまいます。
弊社が木造防音賃貸にこだわるのは、お金がある人だけが建てられる/借りることができるという構図を何とかしたいと思ったからです。木造だと建築費がRC造の3分の2程度に抑えることができますし、第一種低層、第二種低層の住宅街にも建てることができるので、今あるご自宅を離れずに同じ土地で建て替えることもできます。肝心な防音性能について気になると思いますが、こちらに関しては全く心配ありません。
私は音の仕組み、音の伝わり方、音圧、周波数、音の特性、壁の構造、固有振動、音響、残響時間など、音に関するあらゆる豊富な知識を持ち合わせております。
これまでにも難易度の高い防音室の設計・施工にいくつも携わっており、その防音効果は実証済みです。木造であってもRC造と変わらぬ防音性能を安価に施工できるので、オーナー様の初期投資を大幅に軽減でき、入居者に対して借りやすい家賃設定にできると考えています。
そして、良質で安価な防音賃貸が増えることによって、まだ若くて十分な所得がない音大卒業生や音楽家でも防音賃貸を借りることができるようになります。リズムスターは音楽を愛する全ての人を応援しているので、防音賃貸を通じて音楽の練習環境難民の方々にとって住みやすいまちになっていけば、それは本当に嬉しいことです。まちづくりは人づくりです。リズムスターの考えに賛同し、防音賃貸を作ることに少しでも興味を示してくれるオーナー様との出会いを心から楽しみにしています。
音楽を愛する全ての人へ(まとめ)
これは弊社リズム・スターの考え方でもあるのですが、私たちが仕事をすることによって弊社の利益になるだけではなく、関わった人、会社、全てがハッピーになればいいですよね。三方良しではなく、四方でも五方でもいい。防音賃貸の提案は、安価に良質な防音賃貸物件を建てることによって相場よりも安い家賃設定が可能になり、広い層の音楽愛好家が防音賃貸を借りることができるというものです。家主(オーナー様)と借主(入居者)どちらもハッピーになりますが、演奏環境の充実により音楽業界も活性化されるかもしれませんし、複数のオーナー様が防音賃貸を新たに建てるとなると金融機関も忙しくなるかもしれません。まさにハッピーな人が増えますよね。防音賃貸アパートの提案というのはそれほどまでに広がりがある提案なのです。
防音賃貸アパートは、空室対策のための差別化としてだけではなく、音楽を愛する全ての人に歓迎される提案になるのではないでしょうか
▽お問合せはこちら▽
▽お問合せフォームはこちら