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失敗しない防音工事業者の選び方①

リズムスターは防音室の設計・施工を専門とした、東京の内装工事会社です。
防音工事、騒音対策は「防音室」をつくる事が全てではありません。
日本全国からご相談をいただき、戸建て住宅やマンション、ライブハウス、ダンススタジオ、宿泊施設などでの実績。問題解決の方法をお客さまと一緒に模索しています。

今回は数ある防音工事業者の中でどこに依頼すれば失敗のリスクを減らせるか、防音工事業者の選び方について書いてみようと思います。

あるレベル以上の防音(遮音)性能を依頼したのに、結果的にその性能を満たさず、「言った、言わない」のドロドロのトラブルになっているケースを耳にします。
弊社では、他社で作った防音室の遮音性能を改善できないかという相談を受けることがありますが、そのほとんどが、

① 業者側の力不足(知識・経験・技術の不足、設計者の見込みが甘かったなど)で依頼者の要求に応えられなかったケース
② 業者側と依頼者側の間で、出来上がる予定の防音性能に対する認識の違い。

つまり、「依頼者が期待していた遮音レベルと、業者が依頼されたと判断した遮音レベルの認識のズレ」によって揉めたケースが多かったと記憶しています。

しかしながら、ウェブサイトに書いてあることや依頼者に対する説明だけでは、安心できる業者なのかどうか判断しかねると思います。自ら「技術はありません」という業者はいないと思いますし、その性能評価方法に一定の基準が無ければ、トラブルになった場合、裁判になったとしても決着がつかず、結局、依頼者は泣き寝入りになってしまうリスクがあります。
では、防音室の性能を評価する公的な基準はあるのかというと、実はJISやISOで定められた公的な測定方法とその評価方法が定められています。

最近は国際的な規格であるISOで定められた評価方法に移行していく流れになっているようですが、JISでもISOでも、このように客観的な評価基準で防音室の性能についての話や設計ができる業者さんなら安心です。
ぜひ、測定方法と評価方法について質問してみてください。中には独自の測定方法と独自の性能評価を行っている業者もいるそうなので、注意してくださいね。
特に数値での性能表示が極端に高いことをアピールしている業者は、測定方法と評価方法を間違えている可能性があります。
つまり、本来の性能よりも高く表示している可能性があるということです。

詳しくは割愛させていただきますが、ご興味がある方は下記リンクより閲覧してみてください。

測定方法(建築物の空気音遮断性能の測定方法)は、JIS A1417:2000
評価方法(建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法-第1部:空気音遮断性能)は、JIS A1419-1:2000
をそれぞれ下記リンク先の右側、JIS検索より検索すると閲覧できます。
https://www.jisc.go.jp/index.html

簡単に説明すると、例えば音源室側のスピーカーの近くで音圧を測定し、受音室側の壁から離れた位置で音圧を測定し、それらを単純に引き算すると、数値的に見えがかり上の性能が上がってしまいます。
そこでJISでは測定や評価する際の決まり事を定め、それにより客観的に性能評価をしましょうね、ということになっているわけです。

このように正しい評価方法を行うと、高い性能を発揮させるためには相当な工事が必要になりますから、「Dr95とかDr100の防音性能です」などと謳っている業者は少し怪しいと感じてしまいます。(Drとは遮音性能を表す単位です。JISではDr60までが予め規定されています。60を超えることが無いという訳ではございません。)
最も遮音が難しい箇所にガラスのサッシ窓がありますが、それらの窓も含めて上記のような性能を発揮させることは現実的には無理と断言できます。(スペースにゆとりがあり、かなりの空間を犠牲にできるのであれば出来なくもないですが・・・)
仮に測定結果が正しかったとして、一般住宅の楽器用の防音室では確実にオーバースペックであり、全く必要がないレベルです。
ジェット機のエンジン音を無音状態にしてしまうくらいのレベルです。

それだけのエネルギーを遮音するとなると、かなり重くなるはずですしコストも跳ね上がるでしょうから、床の耐荷重や部屋の有効な広さなどを考慮すると現実離れしているな、という印象です。
音の大きさで使用される単位dB(デシベル)とDr曲線については別記事で書く予定です。それぞれの意味が理解出来たら、いかにDr100という性能が現実離れしている数値で、住宅の防音室ではほぼ有りえないレベルなのかがイメージできるかと思います。測定のやり方を間違えているか、わかっていて誇大に宣伝しているかということになり、少し注意されたほうが良いかと思います。

精密騒音計のメーカーさんのウェブサイトが勉強になるので覗いてみると良いかもしれません。
どちらも、わかり易くとても信頼できる内容になっています。

株式会社小野測器さんのウェブサイトです。
https://www.onosokki.co.jp/default.htm
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/index.htm

リオン株式会社さんのウェブサイトです。
https://www.rion.co.jp/
https://svmeas.rion.co.jp/support/st_sound.aspx

まとめ
極端な高遮音を謳う業者は要注意です。

目に見えない防音という目的を達成するために、難しいとは思いますが少しでも音に関する知識を学ばれ、良い業者さんに出会え、楽しい音楽ライフなりますよう、お祈りしております。