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【施工事例】マンションでマリンバ2台を夜間もストレスフリーに!既存防音室の「増床」という超難関工事に挑んだ理論的アプローチ

マンションやアパート、戸建て住宅、店舗、スタジオ、ライブハウスなどの防音室設計・施工を手掛けているリズムスターです。

今回ご紹介するのは、音大で打楽器を指導されている中村先生のご自宅スタジオ。以前リズムスターで施工した防音室を、隣の洋室とつなげて広げる「増床」工事の事例です。

既存の防音室を壊さずに広げる工事は、ゼロからつくる以上に設計が難しい工事です。防音室の増床・拡張を考えている方、マリンバなど打楽器の防音室をお考えの方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

この記事の結論

増床した防音室の全景(マリンバ2台を設置)

マンションにおける防音室の「増床(床面積の拡張)」は、単に壁を取り払って部屋を繋げるだけでは成立しません。既存の防音室(浮いた箱)と隣の部屋の床を物理的に合体させ、「一つの浮き床として振動を完全に一体制御する」という極めて高度な音響・構造設計が必要です。

特にマリンバのような、低音の振動(個体伝搬音)が強く、音域の広い打楽器の防音では、感覚に頼った施工は必ず階下への音漏れクレームに繋がります。

リズム・スターは、測定とシミュレーションに基づいた「理論的な設計」により、異なる2つの床の振動制御、ミリ単位の間取り拡張、そしてオーダーメイドの吸音設計をすべてクリア。マンションの1階で、「深夜でもマリンバ2台をのびのびと、音漏れせずに演奏できるスタジオ」を実現しました。

この記事が向いている人

防音室の天井に設置した音響拡散体

この記事は、次のようなお悩みやご要望をお持ちの方に最適な内容です。

  • 既存の防音室が狭いため広げたい(増床・拡張したい)
  • マンションや戸建て住宅で、マリンバやドラムなどの打楽器を夜間・深夜に練習したい
  • 他社で「防音室の増床・拡張工事はできない(新しくつくり直すしかない)」と断られた
  • 打楽器特有の重低音や足元から伝わる振動(個体伝搬音)の対策に悩んでいる
  • 感覚的な防音工事で失敗したくないため、理論や数値に基づいた確実な設計・施工を求めたい
  • 防音性能だけでなく、室内の「自然で心地よい響き(音響調整)」にもこだわりたい

施工事例要約

増床工事後のマリンバ防音スタジオ全景

1回目の施工から10年後の、増床工事。

項目詳細情報
建物・構造分譲マンション 1階
施主・用途音楽教室「中村音楽教室(Chippy’s)」主宰 中村先生(音大打楽器指導者)
症状・ご要望・前回リズムスターで手がけた防音室の、隣の洋室が空いたので、増床(約4畳半)した
調査・設計の難所・既存の「浮いた箱」に隣の洋室を合体させ、1つの「巨大な浮き箱」につくり替える超難工事
・既存室と隣室は天井高が異なり、床も繋がっていないため、異なる床をシームレスに合体させて振動を均一に制御する必要がある
・マリンバは低音から高音まで音域が広く、スタンドを伝わって床へ抜ける「個体伝搬音(振動)」の対策が命となる
採用した技術・工法・「異なる床の振動一体化」技術:2つの異なる床を新設床と合体させ、一体の浮き床として制振
・廊下の限界拡張設計:家具・冷蔵庫搬入を1cm単位で計算し、廊下幅を極限まで狭め、防音室を廊下側に限界まで拡張
・オリジナル手作り吸音材:物理計算に基づき形状・厚み・材質を算出。試奏後に現場で微調整(1個移設)し、最適な残響を確保
・「世界最強」ヤマハの木製防音ドアを二重(2重)に設置(遮音性能の更なる強化)
施工後の効果・深夜にマリンバ2台でアンサンブルをしても、外への音漏れがない
・幼稚園児から80代の生徒までがのびのびと演奏・合奏できる理想のスタジオへ
・10年前の生徒の紹介から、先生の1回目施工、そして今回の2回目増床へと繋がる深い「信頼の輪」を実証

施工ドキュメンタリー:10年以上の信頼の絆と技術への挑戦

完成した防音スタジオで談笑する中村先生と田中代表

ここからは、音大で打楽器の指導を行いながら、幼稚園児から80代まで幅広い世代が集う打楽器専門教室「中村音楽教室(Chippy’s)」を主宰されている中村先生と、リズム・スター代表・田中による対談インタビューをお届けします。

現場でどのようなドラマがあり、どのように技術的ブレイクスルーが生まれたのか、その全貌に迫ります。

【1】10年の我慢より「今」。マリンバ2台をストレスなく奏でるための決断

防音室でマリンバを演奏する中村先生

インタビュアー
中村先生、今回の防音室の増床、本当に素晴らしいスタジオになりましたね!リズム・スターでの施工は今回が2回目とのことですが、元々の出会いはどのようなきっかけだったのでしょうか?
中村先生
実は10年以上前、自宅には他社製の防音室があったんです。ただ、どうしても音が外に漏れてしまっていて、外を歩く人に「あ、今はあの曲を練習しているな」と分かってしまうレベルでした。音大での指導から帰宅して夜中や深夜に練習したくても、周囲を気にしてストレスを感じていたんです。
中村先生
そんな時、生徒の自宅の防音室(リズム・スター施工)が素晴らしいと聞いて紹介してもらい、思い切って他社製の防音室を壊して、リズム・スターさんでマリンバが2台置ける防音室を新しくつくってもらったのが最初のご縁です。
インタビュアー
今回さらに「増床」を決断されたのはなぜですか?
中村先生
1回目の工事でつくっていただいた防音室で音漏れのストレスはなくなりました。ただ、今回隣の4.5畳の洋室が空いたんです。防音室には5オクターブと4.5オクターブの大きなマリンバを2台置いていたのですが、どうしても生徒と一緒に演奏すると少し手狭で、身体やマレットが壁に当たってしまうこともありました。
中村先生
「あと10年この広さで我慢するか、それとも今やってしまうか」で凄く悩んだのですが、隣の部屋も繋げてもっと広い空間でのびのびと演奏したいと思い、今やれるならやろう!と増床を決断しました。
中村先生
増床したことで、5オクターブと5.5オクターブのマリンバに入れ替えもできました。
広くなった防音室でマリンバ2台を演奏

【2】廊下もギリギリまで拡張!隣の洋室を繋げる「防音室の増床」という難問

増床した範囲を説明する田中代表

インタビュアー
今回は、すでに完成している防音室をさらに広げるという「増床」工事ですね。田中代表、これは一般的な新規の防音工事と比べて、技術的にどう違うのですか?
田中
通常、防音室は「独立した一部屋を丸ごと防音にする」のが基本です。しかし今回は、既存の防音室を壊さずに活かしつつ、隣の洋室の壁を取り払って防音室を拡張するという、非常に特殊な「増床」のご要望でした。
インタビュアー
壁を壊して繋げるだけ、というわけにはいかないのですね。
田中
まさにそこが防音の最も難しいところです。防音室というのは、建物の構造体から完全に「縁を切った(浮かせた)箱」をつくることで音や振動を遮断しています。つまり、既存の防音室はすでに「浮いた箱」になっている。そこに隣の部屋を繋げて、さらに大きな「一つの浮いた箱」につくり替えなければならないのです。
インタビュアー
部屋の広さを最大化するために、間取りの設計でもかなり攻めたと伺いました。
田中
中村先生から「できるだけ広く使いたい」という強いご要望をいただいていたので、廊下の幅をギリギリまで狭めました。冷蔵庫や大きな家具が搬入できる限界の幅を1センチ単位で測りながら設計し、防音室の壁を廊下側に限界まで拡張(増床)したんです。
1cm単位で設計した廊下幅

中村先生
毎日工事の様子を覗くのが楽しみで仕方がありませんでした!「え、こんな風に変わるんだ!」と、1日単位で部屋が劇的に変化していく様子にワクワクしていましたね。

【3】最大の難所は「異なる床の振動一体化」と「マリンバ特有の広音域」

防振床の上に設置したマリンバ

インタビュアー
技術的な面で、最も困難だったポイントはどこでしょうか?
田中
一番の難所は、「新しくつくる防振床と、既存の防振床を繋げて一体化させること」でした。防音室を増床して一体化させるには、新しくつくる床と完全に合体させ、「一体の浮床として振動を動かす(制御する)」必要があったのです。ここが1番のポイントでしたね。
インタビュアー
床が一体になっていないと、どうなるのですか?
田中
全体の固有振動数が変わるので個体伝播から来る音が伝わってしまうリスクがあります。また、壁の遮音性能の低下に繋がる恐れがあります。特にマリンバは、床に置いて使う楽器なので、叩いた振動が床に直接伝わる楽器です。そのため、床の防振は非常に重要です。全体の性能を決めると言っても過言ではありません。
防音室の構造を解説する田中代表

インタビュアー
打楽器の防音は、やはり他の楽器よりも難しいのですね。
田中
そうなんです。マリンバは音域が非常に広く、低音から高音まで幅広い音が出るという性質があります。それに加えて、音板の下に配置してある共鳴パイプを通して、豊かな音の広がりをみせる楽器です。つまり非常に大きな音が出ます。
田中
個体振動を制御しないと、マンションの躯体を伝わって、音が他の階層にも伝播してしまいますし、さらに、直接発生する音が大きいので、通常のマンションの境界コンクリートを貫通して音が抜けていきます。打楽器の難しさはこれです。ドスンドスンという振動と、叩いた時に出る音の粒が貫通して漏れるので、特に集合住宅は注意が必要です。

【4】感覚ではなく「理論」で。手作りの吸音材と2重防音ドアでストレスゼロの響きへ

響きについて話す中村先生と田中代表

インタビュアー
中村先生は、リズム・スターさんの提案のどんな点に安心感を抱かれたのですか?
中村先生
私たち音楽家は、音や響きについてどうしても「感覚」で話してしまいがちなんです。「もう少し響きを柔らかく」とか「包み込まれるような」とか。でも、リズム・スターの田中さんは、それをすべて「理論的」かつ「物理的な数値」に落とし込んで説明してくれるんです。「感覚は偏るけれど、理論は嘘をつかない」。だからこそ、お話ししていて本当に納得がいきますし、絶対の安心感がありました。
インタビュアー
素晴らしい信頼関係ですね。室内音響(響き)の調整には、どのような工夫をされたのですか?
田中
防音室内の響きを整えるために、自社オリジナルの吸音材を手作りしています。このスタジオの広さと、マリンバ2台という音響負荷に対して、吸音材の形状、厚み、材質を物理計算によって導き出しました。「これが一番ベストだ」という数値に基づいて配置したんです。
リズム・スターオリジナルの手作り吸音材

インタビュアー
実際に音を出してみて、いかがでしたか?
田中
数値上は完璧でしたが、実際にマリンバを演奏してみると、少し低音側が少しデッド(響きが吸われすぎている状態)気味に感じられたそうです。余韻の響きをカットしすぎてしまったんですね。そこで現場で先生に確認していただきながら、先生のご要望で吸音材を1個外してみたんです。
中村先生
そうなんです!1個外しただけで、驚くほど理想的な「豊かで心地よい響き」に変わりました。私たちの耳の感覚と、田中さんの確かな理論が現場でセッションするようにして、完璧な音響空間が完成しました。
インタビュアー
ドアにも非常に強いこだわりがあるとお聞きしました。
中村先生
深夜に思いっきり練習したかったので、無理を言ってドアを二重(2枚)にしていただきました。信頼している「ヤマハの木製防音ドア」です。
田中
弊社が絶対的な信頼を置いているヤマハさんの木製防音ドアですね。私たちは「世界最強」だと思っています(笑)。実は、上階や隣への音漏れを計算した結果、「性能的には1枚で十分に収まりますよ」とお伝えしたんです。でも、先生が「どうしても深夜の練習が心配だから、もう1枚追加したい」とご希望されたので、二重扉に設計変更しました。
ヤマハの木製防音ドアを二重に設置

中村先生
おかげさまで、夜中にどれだけ叩いても外には全く音が漏れなくなりました。あの二重ドアのおかげで、何の心配もなく、心から音楽に没頭できています。
防音ドアについて説明する田中代表

【5】10年以上の信頼が繋ぐ縁。音楽を愛する生徒たちが集うスタジオに

防音スタジオの入口に立つ田中代表と生徒さん

インタビュアー
完成した新しい防音スタジオ、これからはどのように使われるのですか?
中村先生
私が主宰する「中村音楽教室(Chippy’s)」では、幼稚園のお子さんから80代の方まで、本当に幅広い世代の生徒さんが通ってくださっています。みんなで楽しく音楽をやることが教室の理念なので、部屋が広くなったことで、念願だった「マリンバ2台によるアンサンブル練習」が早速できるようになりました!
インタビュアー
さっそくアンサンブルを楽しまれているのですね。今日もスタジオに素敵なゲストがいらっしゃっていますが……。
中村先生
はい!実は今日遊びに来てくれた生徒の彼女も、10年以上前にリズム・スターさんで自宅の防音室を施工してもらったんです。彼女の防音室が本当に素晴らしかったので、10年前に私にリズム・スターさんを紹介してくれて、そこから私の1回目の防音室施工になり、そして今回の2回目の増床工事へと繋がりました。
インタビュアー
10年以上の時を超えて、生徒さんと先生、そしてリズム・スターさんの信頼の輪が繋がっているのですね。
中村先生
本当にそうですね。こうして素晴らしい環境で、大好きな生徒たちとマリンバのデュオ(合奏)ができることが、何よりの幸せです。
中村先生・生徒さん・田中代表の記念写真

プロの防音室 設計・施工診断コメント(田中代表の技術解説)

楽譜棚と吸音材を備えた防音スタジオ

既存の防音室に隣の部屋を繋げて広げる「増床(床面積の拡張)」は、通常の新規施工に比べて技術的ハードルが飛躍的に高くなります。

なぜなら、防音室は建物内に「浮かせる構造(浮床・浮壁・浮天井)」をつくることで音や振動をカットしているためです。

既存の防音室という「すでに完成した浮いた箱」を壊さずに、隣の部屋を合体させて1つの「シームレスな浮いた箱」にするには、同じ挙動で振動する床を新しくつくり、それを一体化させることが難易度が高いのです。

今回のプロジェクトにおける技術的なポイントは以下の3点に集約されます。

1. 新設する防振床の振動の一体化

防振床の一体化について解説する田中代表

既存の防音室と隣の洋室は、天井高も違えば、床の構造も異なり、物理的に縁が切れていました。これを新しくつくる床とシームレスに結合させ、「一つの連動した浮床として、振動を均一かつ効率的に制御する」ために、床下構造の結合部をミリ単位で計算し、防振ゴムの配置をシミュレーションし直しました。床全体が一体となって振動をいなすことで、防振床の性能を落とさずに増床を可能にしました。

2. 打楽器特有の「個体伝搬音(振動)」と「広音域」へのアプローチ

マリンバ演奏用のマレット

マリンバやドラムなどの打楽器は、空気を伝わる「空気伝搬音」よりも、楽器から足(スタンド)を伝わってマンションのコンクリート梁やスラブを伝わる「個体伝搬音(振動)」の制御が不可欠です。さらに、マリンバは低音から高音まで非常に広い音域を持ちます。

特に低音域の豊かな響きは、波長が長く音が抜けやすいため、その点についても気をつける必要がありました。

3. 吸音と残響(響き)の「理論」と「感覚」のセッション

形状・厚みを計算したオリジナル吸音材

どれだけ遮音できても、防音室内の響きがライブやデッドになってしまっては、優れた音場とは言えません。

私たちは、部屋の容積、マリンバ2台という音響負荷に対し、自社オリジナルの吸音材の「形状、厚み、材質、個数」を物理的にシミュレーションして配置。これによって不要な残響音をカットしつつ、試奏の段階で中村先生の「耳の感覚」を取り入れ、吸音材を1個取り外すことで、音楽家が最も高揚する「自然で豊かな響き」へと微調整しました。

「理論(物理数値)」という硬質な土台の上に、音楽家の「感覚(耳)」というしなやかな感性を重ね合わせる設計プロセス。これこそが、リズム・スター独自の強みだと思っています。

防音室の増床や打楽器防音は、理論と実績のリズム・スターにご相談ください

マンションの防音室でのマリンバアンサンブル

防音室の「増床・拡張」や、打楽器の防音対策に悩まされている方は、ぜひ諦めずにリズム・スターへご相談ください。

「今の防音室を壊して1からつくり直す予算はない…」
「他社で、既存の防音室の増床は無理だと言われた…」
「打楽器の低音振動が階下に伝わっていないか心配で、夜間の練習に集中できない…」

私たちは、物理的計算に基づく理論と、10年以上にわたりプロの演奏家たちに選ばれ続けてきた確かな実績で、あなたの課題を根本から解決します。

「音楽を好きなだけ楽しむ空間」を、私たちと一緒につくりませんか?
まずはご相談ベースからでも結構です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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