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【プロが解説】オーディオルーム設計の完全ガイド|音響設計で失敗しない作り方

オーディオルーム防音

オーディオルーム設計の重要ポイント

オーディオルームの設計において、重要なのは「音響設計」です。

建築音響によって音質は「ガラッと変わる」のですが、響きすぎたり、逆に響かなすぎたりする問題が発生し、この音響設計が軽視されがちなのが現状です。

この記事では、オーディオルーム設計のプロが実際の施工経験に基づいて、失敗しないオーディオルーム作りの要点を解説します。

オーディオルームに必要な3つの要素

オーディオルームの定義

オーディオルーム防音

オーディオルームとは、音源を発生させる装置から出た音を心地よく聞いて楽しむための部屋と定義しています。
一部屋を完全にオーディオ専用にする場合もあれば、ホームシアターとしてリビングなどに作る場合もあります。

一般的にオーディオルームには「遮音による静粛性」と「室内での音環境」がとても大切です。

防音で問い合わせしてくる人は他人に迷惑をかけないようにというケースがほとんどですが、オーディオルームの場合はそれに加え外から入ってくる音も遮音し、静かな音環境が求められることがポイントです。さらにその完全に外からの音が遮断された状態で一番いい響きにする音響設計が非常に重要です。

オーディオルームに必要な要素

オーディオルーム防音

音響:理想の音で聴くための部屋づくり
防音:室内の音を外に漏らさない技術、外部の音を室内に侵入させない技術

レコーディング・スタジオなどと同様に、録音や繊細な音楽鑑賞では、外部からの雑音が入ることは好ましくありません。

例えば近所に線路が走っている場合、「防音」的には音が漏れていても苦情は来にくい。しかし、オーディオルームやレコーディング・スタジオは外からの音が入ってこないような設計を最優先にします。
ここが楽器で使用する防音室との違いです。

繊細な音まで聞き取れる環境づくり

オーディオファンが求める静粛性のレベル

オーディオファンが求める静粛性は、「映像の中の遠くの波の音まで聞きたい」という非常に繊細で小さい音まで聞き取りたいというような、強い要望が寄せられます。

ハイレベルな電源対策

オーディオルーム防音

音質にこだわる方の中には、電源環境にまで気を配る方がいます。

電圧や、スピーカーケーブルまで追求する方もいらっしゃいます。これらの対策により、電源ノイズを極限まで排除し、クリアな音質を追求していらっしゃいます。

換気設備の音漏れ対策の重要性

空調換気が音漏れの原因になる理由

オーディオルーム防音

オーディオルームではエアコンから出る風切音、換気音などを解決します。

空調換気は空気の通り道であるため、内と外が繋がっており、それは音が漏れる要因にもなり得ます。その設計は非常に重要です。

1.レンジフードからの音漏れ:リビングやダイニングをオーディオルームにする場合に要注意
2.換気扇の稼働音・風切り音、防音・遮音性がしっかりした空間では、これらの音が際立って気になる

これらの問題を解決するために開発されたのが、高性能な防音換気扇です。

防音換気扇の性能

  • ・基本性能:Dr-45
  • ・サイレンサー追加時:Dr-60まで向上
  • ・「世の中にそんな換気扇ない」レベルの性能

実際の事例として、ドラム防音室にこの防音換気扇を設置したお客様から「音がしない、動いていないのではないか?」という連絡がありました。

確認していただくと、ティッシュをかざすと換気扇の風でなびいていることがわかり、「動いていて、あまりに静かで驚いた」という評価をいただきました。

この防音換気扇は、ドラムのような非常に大きな音も外に漏れないように遮断できるため、ドラム室では必須の設備として導入しています。

プロが教える音響設計の具体的手法

科学に基づく吸音率の設定

オーディオルーム防音

音響設計において最も重要なのが、用途に応じた適切な吸音率の設定です。音響学会で推奨されている具体的な数値があります。

■楽器別最適吸音率
・ピアノ:0.19
・弦楽器:0.14〜0.15程度
・ドラム:0.25〜0.3

注意すべきは、吸音しすぎると「デッド過ぎて響かない」状態になることです。例えば、声楽の練習でデッドすぎる部屋を使うと、部屋が響かないため無理して声を出そうとして、喉を痛める原因にもなります。

周波数特性のフラット化技術

高品質な音響設計では、周波数特性をフラットにすることが重要です。

対象周波数帯域
– 125Hz
– 250Hz
– 500Hz
– 1kHz
– 2kHz

これらの1/1オクターブでの各吸音率をフラットになるように設計することが、理想的な音響環境を作り出すポイントです。
しかし、この調整は技術的に非常に困難です。

なぜなら
・中高音:中高音を吸いやすい素材が世の中に沢山ある
・低音:波長が長いため、音が吸われにくい特性がある

この低音域をいかにコントロールするかが、音響設計の重要なポイントとなります。

部屋の寸法比による部屋の音響特性

部屋の物理的な寸法比も音響に大きく影響します。
ここでは深く触れませんが、このようなことが影響するということを知っていただけましたら幸いです。

オーディオルーム予算の考え方

プロが推奨する投資優先順位

オーディオルーム防音

限られた予算の中で最大の効果を得るために、投資の優先順位を明確にすることが重要です。

お金をかけるべき優先順位
1.防音性能と静粛性
2.音響設計

防音性能と静粛性は「マスト要件」として当然必要なものです。一方で、音響設計は音質への影響が最も大きいのが現実です。

弊社の施工事例

成功事例:リスニングポイントを追求したオーディオルーム

オーディオルーム防音 オーディオルーム防音

最初にお会いした際の残響時間を0.3秒でというリクエストに応えて設計させていただきました。

木造2階建ての2階部分。
屋根裏を解放し天井を高くつくった部屋(3m以上)で、普通の住宅では味わえないような豊かな音を創り出すことができました。

お客様が一人で利用する趣味の部屋。
部屋の寸法費でどの向きにスピーカーを置くかを決め、お客様が座る位置を決めてリスニングポイントに合わせた音の反射を徹底的に詰めたため、豊かな音場になっています。音響をじっくり設計した事例でした。

ミサワホーム様の設計の方に協力していただき、完成後に「今まで聞いた中で一番音がいい」という最高の評価をいただきました。
こちらのお客様は専門的な知識をお持ちの物理学教師の方でしたが、専門家から見ても満足いただける音響設計を実現できました。

成功するオーディオルーム設計の進め方

ヒアリングこそが成功の鍵

オーディオルーム防音

オーディオルーム工事を成功させるために最も重要なのが、工事前の徹底的なヒアリングです。「オーディオルームはヒアリングが命」と言っても過言ではありません。

ヒアリングによって、オーディオルームを作る目的や用途などを確認し、さらに絶対に譲れないことや機能や性能に関する優先順位なども引き出します。

専門知識を前提としないヒアリング

ポイントは、お客様が望む「理想の音環境に近づける」ための設計を心がけているということです。今ある条件の中で最も理想に近づくための配慮です。
そのためにヒアリングが重要なのです。
こちらが想定し得る可能性を細かく伝え、その上で工事内容を決定していく必要があります。

具体的なヒアリング項目

オーディオルーム防音

・オーディオルームの使用目的
クラシック音楽を聴きたいのか、映画を観たいのかなどのジャンル
アナログ音源なのか、デジタル音源なのか(デジタル音源の場合は残響時間が調整されてレコーディングされていることが多い)

・鑑賞する時間帯
工事完了後に「やっぱりもっとここはこうしたい」という追加工事にも対応しています。
事前に潜在的な希望まで引き出すことも心がけて対応しています。

まとめ

理想のオーディオルーム実現のために重要なポイント:

技術的要点:
– 音響設計の重要性を理解する
– 音響・防音を考慮する
– 科学的根拠に基づいた最適な吸音率設定を検討する
– 防音換気扇など専門設備の導入を検討する

進め方のポイント:
– 徹底的なヒアリングによる要件定義
– 音響設計対応可能な専門業者の選定

投資の考え方:
– 防音性能と静粛性の確保
– 音響設計への適切な投資

オーディオルームは、単なる防音工事ではありません。音響、防音の要素を科学的に設計し、お客様の用途と好みに合わせてカスタマイズする、高度に専門的なプロジェクトです。

成功の鍵は、経験豊富な専門業者との密なコミュニケーションと、妥協のない音響設計への投資にあります。

弊社では理想のオーディオルーム実現に向けて、サポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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