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マンションの中空階にドラム防音室は造れるのか?!

マンション中空階の ドラム室

マンションやアパート、戸建て住宅、店舗、スタジオ、ライブハウスなどの防音室設計・施工を手掛けているリズム・スターです。

弊社がこれまでに手がけてきた防音室は、難易度の高いものも多数あります。

他社では断られてしまい、最後の最後に弊社を見つけてくれたというケースも。

今回は「難易度の高さ」という観点でお話したいと思います。

それはスバリ「マンションの中空階にドラム防音室がつくれるか!」です!

一体どのような提案ができるのでしょうか。

マンションにドラム防音室は可能?
【1】ドラム防音室の難易度が高い理由

リズムスターではこれまでに数々の防音室を手がけてきましたが、経験的にも、統計的にも、そして理論的にも「難しい」とされるのは、ズバリ、ドラムの防音室です。

マンション中空階の ドラム室

なぜドラム防音室が難しいのか。

それは音が大きく、フットペダルの振動等も伴うためです。

どれくらい音が大きいのか、他の楽器との比較でご説明します。

透過騒音レベル(LEQ=6秒間の音圧の平均値)ですが、例えばピアノは90〜105dB(デシベル)で、これは地下鉄の騒音と同じくらいです。それからサックスは95〜100dB、トランペットなどの金管楽器は95~105dB。

そしてドラム。ドラムは110〜120dBで、近隣に落ちた時の落雷レベルの大きな音と同等とされています。

もちろんドラムは楽器なので、落雷のように不快な音として感知されないかもしれませんが、単純に音の大きさという意味で一番大きい音なのは疑いようがないですね。

そして振動の問題。

ドラムは足でペダル(フットペダル)を踏んでバスドラムを叩きます。その振動に対してもしっかりと対策をしなければなりません。

特に上下階に他の住戸があるマンションなどは十分な対策が必要ですよね。

これまでにいくつものドラム防音室を手がけてきましたが、場所の特性や建物の構造、ご予算が一度として同じだったことはありません。

以上、ドラム防音室が難しい理由をざっくりとお話しました。ご理解いただけたでしょうか。

マンションにドラム防音室は可能?
【2】上階にドラム室は無謀?

リズムスターでは「自宅で思いっきりドラムを叩きたい!」という夢を是非叶えてあげたいと常々考えています。

例えそれがマンションであろうと、考えに考えて、極限まで実現可能性を追求します。

率直に申しますと、可能かどうかは条件次第。

物件の構造や、様々な条件が整っていれば論理的には上階でもドラム室は造れますが、なかなかそのような物件に出会うことは珍しいです。

マンション中空階の ドラム室

ここで、マンションの構造について少しだけご説明します。

マンションの構造は色々ありますが、今回はラーメン構造という、一般的な構造を取り上げてみたいと思います。

ラーメン構造とは垂直の柱と水平の梁を剛接合して建物全体を支える構造です。

梁で囲まれた床の部分というのは太古の膜と同じで、中央部分が最も大きく振幅します。つまり構造的に弱い部分となります。

そのため、床が振幅してしまうため、防振の効果が発揮しきれない可能性があります。

ですので、極力構造的に強い部分に配置することができれば、床の問題はクリアできると思います。

さらに、隣接している住戸への対策として床、壁、天井、全方位に防音しなければなりません。それ相応のご予算が必要です。

マンション中空階の ドラム室

さて、お気づきかもしれませんが、これら全てを施工すると、部屋の大きさがひとまわり小さくなってしまいます。マンションのそれぞれの居室の広さは決して大きくないので、大きさの問題も加わると言うことになります。

マンションにドラム防音室は可能?
【3】ドラムの音の特徴

マンションにおけるドラム防音室が難しい理由として、ドラムの特性で、ピーク音に達するまでの時間が著しく早いことがあります。

例えばピアノは、音を発して音が最大値になるまでの時間よりも、ドラムのほうが圧倒的に短い時間でピーク音に達します。

つまり、音が壁に達するまでのスピードが早いため、住戸などの小さい空間では距離による減衰がほぼなく壁に音が達していきます。

例えばコンサートホール等の大きい空間の場合は、壁までの距離があるため、発生した音が壁に到達する頃にはエネルギーが少し減衰しています。それに対し、住宅では減衰せずにほぼそのままのエネルギーが壁にぶつかっていきます。

これらを総合的に考えると、マンションにドラム防音室を施すことは理論的に可能ではありますが、空気層を大きく取れる、天井が高いなど、特別な条件が必要になってきます。

このようなことから、マンションでドラム防音室はあまり現実的ではないと言えます。

マンション中空階の ドラム室

マンションにドラム防音室は可能?
【4】条件を変える(引越し)という選択肢も?!

どうにかしてマンションでもドラム防音室がほしい!思いっきり叩いて練習したい!

その気持ちはわかります。

しかし条件が揃わず、叶わないことが実はほとんどです。

そのような場合、もうこれは究極の選択ですが、思い切って引っ越してしまうのはいかがでしょう。

防音室のために引っ越すの?と思うかもしれませんが、音楽を愛する人は音楽と共に生きることが何よりの幸せです。特にプロの演奏家であれば、楽器に触れないことは致命傷にもなりかねません。

そう考えるとドラムを叩くために引っ越しをするのは選択肢として”アリ”なのではないでしょうか。

その際、ドラム防音室を前提にした物件としては、戸建が理想です。

戸建であればまず隣戸と接していませんし、近隣への対策が取りやすいです。また、ご家族の許容範囲に合わせて、遮音とご予算のバランスも取りやすいでしょう。

マンション中空階の ドラム室

また、防音室設計と同時に内装工事を進めることで、リノベーションの費用等も少しは抑えることができるかもしれません。

マンションの1階という選択肢もありますが、下階への振動問題はないにせよ、やはり隣と上階への対策は十分にしないといけないので難易度が上がります。そう考えると、やはり引っ越し先としては戸建がよいでしょう。

そして、練習という意味では、生ドラムだけでなく、電子ドラムも選択肢の一つです。

マンション中空階の ドラム室

電子楽器の進化はめざましく、叩いた時の感触も本物に近づいています。電子ドラムであれば価格を抑えて遮音が図れ、ペダルを踏んだ際の振動に関しても音が漏れていくことはないので、防音対策のハードルが随分下がります。

このように、発想を変えて選択肢を広げてみるのも一つの解決方法なのではないでしょうか。

マンションにドラム防音室は可能?
【5】中空階に防音をつくった事例

ドラム室ではないですが、商業ビルの5階に防音対策を施した事例をご紹介します。

用途としては、日本舞踊の舞台です。

日本舞踊は足で踏み込んで大きな音が出るように、床が跳ねるようにわざと固定せず、さらに床の下に大きな瓶を仕込んで、音が反響する仕様になっているそうです。

今回はそういった日本舞踊の舞台の防振の設計に携わりました。

マンション中空階の ドラム室

ただ今回は商業ビルです。

クライアントからのリクエストは音を大きく出したいけれど、4階へは音が届かないようにしたいという、一件矛盾した内容のもので、非常に難しい工事でした。

30人を越える人数で演舞することもあります。そのため荷重計算のシミュレーションと、防音・防振の対策を同時に考える必要がありました。

ここからは具体的に説明いたしますね。

ビルは壁工法の鉄筋コンクリート造でした。

床などの駆体を伝わって伝搬する音を防ぐため、防振床をつくる必要がありました。

壁工法なので柱がありません。ラーメン構造に比べて、スパンが長いため、固有振動数が低音域に移動していきます。また、梁の数も少ないため、防振が機能するための床の剛性を担保する必要がありました。

そこで剛性の強い梁から梁へ防振ゴムを配置する際に、梁間のスパンが長すぎたため、H鋼を採用することにしました。ここで問題が発生します。

舞台の脇に収納があり、扉まですでに完成していたため、収納の扉に干渉しない高さの範囲内で床を造る必要がでてきました。

防振床を支えるH鋼がたわまないレベルのH鋼高さを確保すると、床の製作範囲を超えてしまうため、たわみ量を計算し、特注のピースを溶接し、そこに防振ゴムを設置することでギリギリまで床を下げ制作可能範囲内で防振床を設置することができました。

この工事は、弊社の施工事例の中でもトップレベルに難易度の高い現場でしたが、無事にお客様のご希望を満たす防音の舞台を造ることができました。

マンションにドラム防音室は可能?
【6】防音室は「音のプロ」に相談しよう!

ここまでご覧いただき、中空階でのドラム室施工に必要な防振がいかに重要で難しいかご理解いただけましたでしょうか。

端的に申しますと、マンション中空階の「ドラム防音室」をつくることは条件が揃えば理論上は可能、ただし条件の良いマンションがなかなか見つからないため、あまり現実的ではないという結論です。

しかし、一度ぜひご相談ください。

弊社はお客様の物件選びからサポートしております。また多数の実績から、防音のプロとしてベストアンサーをご提案いたします。

他社ではお断りされるような難易度の高いご相談も、お気軽にご連絡ください。

マンション中空階の ドラム室

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