D.I.Yでの防音工事の可能性について書いてみました。
リズムスターは防音室の設計・施工を専門とした、東京の内装工事会社です。
防音工事、騒音対策は「防音室」をつくる事が全てではありません。
日本全国からご相談をいただき、戸建て住宅やマンション、ライブハウス、ダンススタジオ、宿泊施設などでの実績。問題解決の方法をお客さまと一緒に模索しています。
防音と言っても、楽器演奏などにも耐えうる高性能なものや、道路から入ってくるバイクなどの音で目が覚めてしまうという生活に直結した防音など、防音の目的は様々だと思います。
今回は楽器用だけではなく、生活に関する音の問題を通してDIYでの防音の可能性についてお話ししてみたいと思います。
某掲示板では間違った知識を披露する方が沢山おられるので、そのあたりについても触れていきますので、皆様の参考になれたら幸いです。
まず、防音したい目的はなんでしょうか?
・思いっきり歌いたい!
・楽器を練習したい!
・道路や駐車場から来る交通騒音で夜間に目が覚めてしまう。
・赤ちゃんの夜泣きが近所に迷惑をかけていないのか心配でストレスを感じている。
・アパートなどで隣の話し声がうるさいが注意しても改善されない。又は注意できないのでこちら側で対応したい。
・歩く音が原因で下の階の人から苦情がでている。
・夜勤が多いので、日中に静かな部屋で安眠したい。
・大きな音で映画や音楽を楽しみたい。
他にも色々あると思いますが、概ねこんなところでしょうか。
DIYで防音する場合の絶対条件が工事しても良い環境であることです。
マンションなどで行う場合、管理規約などで制限がありますのでご確認ください。
(賃貸の場合でも大家さんの許可があれば大丈夫ですが、退去する時に元通りにしなければならないため、あとで高額な請求が来る可能性があります!)
ドラムやピアノなどの防音の場合、失敗したあとのリスクが大きすぎるので、DIYでの防音はお勧めできません。
がっかりしてしまった方、期待させてしまってごめんなさい!!
その理由も後ほど触れます。
マンションなどの場合、音が伝わっているのに気づかず演奏してしまい、後で大問題になる可能性が高いです。
そこはプロにお願いしましょう!!
※前回のピアノ防音のブログを参考にしていただけたらと思います。
ということで、プロに頼むほどではない防音で、マンションの管理規約に抵触しない範囲でのDIY防音についての可能性を検討してみたいと思います。
DIY防音は有りなのか、無しなのか!
また、DIYというくらいですから工具も必要になりますし、建築に多少の心得のある人が行う場合でも工事中の騒音や共用部への配慮なども必要になってきますので、ご注意ください。
一戸建ての場合では管理規約など無いですが、工事中の音などご近所さんに対する配慮もお忘れなく。
まず、よく間違われて認識されているのが、吸音材などを貼れば防音できるといった情報です。
発生した音は壁や天井、床を反射して耳に届きますので、吸音材を貼ることで響き(残響)は減ります。しかし、これは自分の部屋では壁に当たった音が急速に減衰するので、静かになったような錯覚になっているだけです。
つまり静かになったと感じたのは本人の部屋だけ!
吸音は音の反射をおさえるもの、防音(遮音)は音を伝えにくくするもの、とはっきり分けていただくことをお勧めします。
襖で部屋を仕切った和室を想定してみてください。
襖ですから、隙間はあるにせよ音が貫通してくることがお分かりになるかと思います。
そうなんです。
音って貫通してくるんです。
この貫通してくる音をエネルギー的に止めない限り、いくら吸音材をつけてもコンクリート造だろうが隣戸や階下へは突き抜けてしまうということです。
大手インターネット掲示板で「ピアノの下に布団を敷くと音が止まるよ」という書き込みがありました。
他にも先ほど触れた「市販されている吸音材を壁に貼りまくれ」とか、「カーペットがいいぞ」などの間違ったアドバイスが氾濫しています。
そんなことで解決できるなら我々専門家は廃業ですね。
さて、DIYで行う簡易防音の可能性について話を戻します。
音を聴こえにくくする方法として、壁などの質量(重さ)をあげる、気密性をあげる、防振する、などの設計を我々は行っていきます。
(他にも様々な専門的なテクニックを用いているのですが、あえてこのあたりの話をさせていただきます。)
二重サッシにする事も気密性をあげつつ、質量も上げるという意味でとても効果的ですね。
専門的な話は書ききれないので割愛しますが、二重サッシでも不利になってくる部分、質量をあげても効果が薄くなる限界値がありますので、あくまでもDIYで出来るレベルと認識して頂ければ幸いです。
部屋の中に厚さ1mのコンクリートの壁を作るといった極端な話は現実的でない為、ここでは触れません。
もっとも簡単な方法はまず、サッシの気密性をあげることです。
サッシそのものを交換するのが良いのですが、おそらく素人さんでは難しいですし、マンションなどの場合は共用部にあたりますので、おそらく許可がおりないでしょう。
内側に取り付ける二重サッシであれば専有部分になりますので問題は無いと思います。
その際、できるだけ厚めのガラスを選んでください。
ペアガラスが断熱性にも優れ防音効果があると言われていますが、実は音的にはペアガラスが不利な部分があります。
ペアガラスはやめましょう。
次に壁などの質量付加(壁を重たくすること)です。
石膏ボードなどを壁に増し張りしていくことになるので、専門的な技術が必要になってきますが、壁全体の質量をあげていくことで遮音効果が上がります。
ただし、2層~3層くらいの増し張りでは効果があがる実感はありますが、それ以上になってくるとコストをかけても意味が無いレベルで限界点に近づきます。
このレベルの工事を行ったとしても楽器の防音になると力不足ですのでご注意ください。
また、天井は落下して怪我をするリスクがありますので、必ずプロにお願いしてください。
また、ボードを貼り増しした後にクロスを貼ったり、エアコンがあった場合外して再度取り付けるなどの作業もでてきますね。
最後に防音ドアの取り付けです。
インターネットなどでも防音ドアを購入することができます。
取り付けは大工さんなどにお願いした方が良いですが、器用な方は自分でも出来ちゃうかもしれません。
ただし、取り付け方が甘いと隙間だらけになって、あまり効果が出ませんのでご注意くださいね。
長々と書いてきましたが結論を述べると、
DIYでの防音は
・少しでも外から入る音を低減させて安眠したい。
・少しだけ映画や音楽のボリュームを上げたい。
・近所に対し、電話などの話し声を聴こえにくくしたい。
・勉強部屋として静かな部屋で集中したい
という程度の防音であれば有り
楽器や歌などの練習用では危険
(フォークギターなどで小さ目の音と声なら大丈夫な可能性は大いにあります。ただし自己責任になりますので慎重に!)
という事になります。
いかがでしたでしょうか。
ほんの少しだけでいいので、安く防音効果を高めたいという方であれば、DIYでの防音は有りだと思います。
そうでない方はネットなどの間違った情報に騙されないようにしていただき、ちゃんとした業者さんにお願いするなど、ご近所さんとのトラブルにならないようにしてい頂ければ幸いです。