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ドラム練習室の防音・防振と吸音について書いてみました。

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ドラムについて

ドラムと言えば、楽曲の要となるリズムを担当し、迫力やグルーヴ感を出すのに欠かせないパートだと思います。
多くのバンドやオーケストラでも後方にいる事が多く、ギターやボーカルが前面に出て来るのに対し、裏方的な、又は縁の下の力持ちのような、野球で言うならキャッチャーのような(笑)、お父さんのような(笑)、そんなパートだと思っています。

しかしながら、私個人としてはドラムが一番好きで、叩いて音を出すといった原始的な音の発生方法、力強さ、激しい動きや、正確なリズムや複雑なリズム、ドラムから発生する低音が空気を揺さぶって心臓に伝わる振動など、ドラムを好きな理由をあげると沢山出てきます。

ロックバンドなどでは、同じくリズム隊としてベースというパートがありますが、このベースとドラムというリズム隊がしっかりしているバンドは、めちゃめちゃカッコ良いですね!

そんなドラムですが日本語では太鼓、皆様ご存知の通り、バンドなどで使用されるドラムは様々な太鼓を組み合わせてドラムセットとして使用されることが多いです。

基本的なセットは、
・足でペダルを踏むことで叩く、低音を響かせるバスドラム
・小刻みにリズムを刻むことの多いハイハットシンバル
・要のリズムを打ち出して前面にでてくるスネアドラム
・リズムの味付けなどに使用されるフロアタムやトムトム(単純にタムとも呼ばれることが多いようです)
・同じくリズムの味付けや、リズムの調子を刻むのに使用されるクラッシュシンバルやライドシンバル

このあたりが標準でしょうか。

演奏者によってタムは一つだけだったり、10個くらいのタムをセッティングしたり、シンバルも何種類もセットしたりと、それぞれの個性があって面白いのも魅力の一つだと思います。

どんな楽器でもそうだと思いますが、今現在の自分の技量を超える奏法やテクニック、正確なリズムなどを身に付けたい場合や、与えられた課題曲のパートを完璧にこなすには、練習する以外方法は無いと思います。
毎日、少しずつでも自分で課題を決め、試行錯誤しながら身に着けて行く。その繰り返しが血となり肉となり技術として身に付いていくのではないでしょうか。

ところがこのドラムセット、貸スタジオ等で練習するなら問題は無いと思いますが、自宅で練習するにはやはり騒音問題がついてきます。

更に厄介なことに、バスドラムというキックペダルを踏む操作でビーターというハンマーのようなものを可動させて叩いて音を出す太鼓がセットに含まれていますから、振動が床にダイレクトに伝わってしまいます。
この振動(=重量衝撃音)の対策に加え、低音から高音まで幅広い音域をカバーしていること、音を発生させた後に音圧が最大(ピーク)になるまでの時間が非常に速いこと、そして、通常自宅の部屋は狭い事!などがドラム室用の騒音対策で難しいポイントです。

練習用のパッドが市販されており、手を使った練習はそれを使用されていることが多いようです。
また、電子ドラムも進化しておりますので、ヘッドホンで音を聴きながら練習も可能ですね。

ただし!
いくら電子ドラムだとしても、キックペダルだけはどうしても打撃時の振動が発生してしまうので、集合住宅で1階以外の方は要注意です。
マンションの1階に住んでいる方や一戸建ての方は電子ドラムで思いっきり叩いても苦情が来ることはほとんど無いと思われます。

そうは言っても、やはり電子ドラムはゴム製のパッドだったり、メッシュのものだったりしますので、本物のドラムを叩いた後のスティックの跳ね返りとは若干違います。
やはり本物の叩き心地を求めるならば、スタジオで練習すれば良いですが、ツーバス(バスドラムを二つするセッティング)を練習したい場合や、オリジナルのセッティングで練習したい場合などは貸スタジオではなかなか大変なのではないでしょうか。

 

ドラムセット用の防音室を持つ場合の注意点とは

前置きが長くなりましたが、今回は自宅にドラムセット用の防音室を持つ場合の注意点をまとめてみましたので、参考になれば幸いです。

ピアノ用の防音のブログでも書きましたが、音の伝わり方は大きく二つあります。
・空気を振動させて伝わる音
・固体を振動させて伝わる音
(更に固体を伝わって発生した音から放射される振動が空気を伝わる音があります)

ドラムは床に置いた太鼓を叩きますから、床に振動がダイレクトに伝わって行きます。
タンバリンなどは手に持って演奏しますから、ダイレクトに振動が伝わることはありません。ただ、サックスなどと同じように振動した空気が床を振動させることはありますので、大型の太鼓を手で持って演奏する場合でも床の対策はしっかり行ったほうが防音室の性能があがります。

ドラムセットの中心的な周波数は160Hz~200Hzがピークですが、ハイハットやシンバルがあるので、低音から高音までかなりの幅で高い音圧があります。
(31.5Hz~10,000Hz以上のレンジで幅広く、更にピークは110dBに迫る大きな音圧があります!!)

しかも、直接打撃を与えて音を出しますから、初心者でも腕力、脚力によって結構な音がでます。
更に、音が発生した時から最大の音圧になるまでのスピードが速く、すぐに壁に衝撃が当たりますから、狭い部屋でのドラム用防音室はより難しくなります。

そして床の衝撃音です。
バスドラムを叩く際には脚でキックペダルを踏み込みますから、ダイレクトに床に振動が行きます。
音は壁を貫通しますから、空気を振動させて伝播する音と床を振動させて伝播する音のふたつの対策が必須です。
もちろん、一戸建ての1階部分だとしてもその衝撃の振動は建物全体に伝わっていきますから、そこからさらに外壁を伝わった振動が音を再放射して外に音が漏れて行きます。

また、低音域でも大きな音が発生しますので、二重壁にした場合、低音の共鳴現象による大幅な透過損失の減少がありますのでこちらもかなり要注意です。
(透過損失とは音を遮った量だとイメージしてくださると良いと思います)

貸スタジオなどでは地下で営業していたり、建物全体を貸スタジオにしていることで多少の振動や音漏れには目をつぶっているような気がします。

ほとんどが鉄筋コンクリート造の建物ですから、床や壁の質量(重さ)と頑丈さを兼ね備えていますので、音や振動を止め安い条件の上にスタジオが作られています。

床の防振についてはロックウール等のマット状のものを敷き込み、板材を重ねている業者さんを見かけますが、マンション等の1階では使えるかもしれませんが2階以上になると非常に危険です。
また、床にコンクリートを増し打ちしたりするケースもありますが、耐荷重などの検討をしているのか少々疑問が残ります。
弊社では完全に防振ゴムで浮かせた乾式の防振床を作りますので全体を軽く作ることが可能です。固有振動数も計算し10Hz前後の防振床を作ることで更に性能をあげていきます。

 

 

木造の建物にドラムセット用防音室を施工した事例

では木造の建物でドラム室を作ることは可能なのでしょうか。

弊社では木造の古い宿泊施設にドラム室を施工した実績や木造建築物にドラム室を施工した実績がいくつもあります。
ずばり、木造でもドラム室を作ることは可能です。
それもコンクリートで囲いこむのではなく、通常の内装工事で施工してあります。

簡易宿泊所 千住田村屋さんの防音室はこちらから
下の防音室という太い文字をクリックしてみてください。

防音室

残念ながら簡易宿泊所の限られた空間の中で設置したため、防音ドアから廊下には若干音が漏れていますが、一歩外へ出るとほとんどドラム音は聴き取ることができませんでした。

 

こちらは木造一戸建てのドラム室の施工事例です。

東京都 T.T様邸 ドラム室 外部Dr60 室内Dr45

 

上記のようなドラムから発生する数種類の振動が伝播する現象を一つ一つ丁寧に対策することで、木造のドラム練習室は実現可能です。

 

 

 

注意点をまとめますと
・低音から高音まで周波数全域で大きな音圧がある。(初心者でも大きな音が発生する)
・音圧が最大値に達するまでのスピードが速い
・床に直接、衝撃がある。
・二重壁にした場合の低域の共鳴透過現象
(他にも物件によっては細かな注意点が沢山出てきます。)

これらの複合的な現象を一つずつクリアすることが必須となります。
上記の対策方法についてですが、色々な方法があり、こちらを立てればあちらが立たず、といった一筋縄ではいかない組み合わせを駆使することになるのでとても書ききれませんし、状況によっても様々なのです。

一言でこれを施工したらOKというものではなく、一つずつ小さな対策をいくつもいくつも重ねて行くことで最終的に大きな遮音効果を生み出すのです。

鉄筋コンクリート造の建物では、前述の通り質量と頑丈さを兼ね備えた建物の中に造る為、そのハードルが下がっていきます。
ただし、油断をしてしまうと大きな遮音性能は発揮できず、大変なクレームになる可能性がありますから、しっかりした技術根拠を持った業者さんを見つけることが重要です。

 

 

 

ドラム練習室の快適な吸音率とは

最後にドラムの最適な吸音率について少し触れてみたいと思います。
一般的にはドラムは吸音率が高い(残響時間が短い)方が良いとされています。
吸音率的に言えば0.3以上が望ましいと思います。
できるだけデッドな空間にすることで耳が疲れないような部屋になっていきます。
有名なプロのドラマーの方で、響いた方が好きだという声を聴いたことがありますが、日本でトップレベルの方ですし、ライブハウスでの音響の話になった時に出たお言葉でしたので、練習室とは少し違うかもしれません。

一般的には練習用の部屋ですから、全周波数帯域で音圧が均等に分布されるような音響設計をした方が良いと思います。
スネアドラムだけ響き過ぎてしまうとか、シンバルの音がいつまでも残ってうるさく感じてしまうような音響では叩いていても耳が疲れてしまったり、楽しくないかもしれません。
後は、好みの問題になってくるとは思いますが…

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか。

このような技術と対策を分かったうえで設計されている業者さんを見つけていただければ、失敗しないドラム練習室づくりができるのではないでしょうか。

防音室をつくるということは非常に難しく、様々な条件が発生することがある為、皆様と業者さんとの二人三脚で作り上げて行くものだと思っています。
ですので、予備知識としてこのような知識を持っていただいたうえで、業者さんに相談されることをお勧めします。

皆様の楽しい音楽ライフに少しでもお役に立てたら幸いです。

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